「さて、今は今日です」

ちょっとしたきっかけで、スタインの『みんなの自伝』を飛ばし読み。

Everybody's Autobiography

Everybody's Autobiography

「自伝」という「問題」はスタインという作家にとっては中心的モチーフになっているのは間違いない。
知り合いの「自伝」を(「伝記」ではなく)書いてあげるという特殊な著作で見出された彼女にとっての「自伝」とは?

『アリス・B.トクラスの自伝』を書いて、売れて、生活ががらっと変わり…。
という経緯を多くの著名な作家や芸術家、有名人との交流を通して描き、間‐大西洋の移動と重ねる彼女の筆致は、いわゆる一般的な「自伝」に「みんなの」という語義矛盾を誘う語を付けただけに止まらない面白さがある。

Lectures In Americaでの特殊な「アメリカ的なモノ」に関する議論を踏まえると、フランス→アメリカ→フランスという地理的運動と、過去の『自伝』から「さて、今は今日です」という「現在」への接続は、看過できない示唆を含んでいるように思う。

Lectures in America

Lectures in America

その示唆の内容は…「言語化できたらいいな…」というのが現状です。
とりあえずは「視差」がキーワードになるかも。くらい。