ドキュメンタリー映画と、監督の「迷い」の可能性についてぶつぶつ

『沈黙を破る』などの作品で知られる土井敏邦監督の最新作『ガザで生きる』の作成中間報告&ダイジェスト版上映会に行ってきました。 監督は「まだ、作成途中で、これからどんどん改良していく」とおっしゃっていましたが、せっかくなのでレビュー。 http://…

「さて、今は今日です」

ちょっとしたきっかけで、スタインの『みんなの自伝』を飛ばし読み。Everybody's Autobiography作者: Gertrude Stein出版社/メーカー: Exact Change発売日: 1993/09/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る「自伝」とい…

柄谷の≪他者≫

なぜか今さら、柄谷さんの探求1を読まされる。探究(1) (講談社学術文庫)作者: 柄谷行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 1992/03/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 61回この商品を含むブログ (66件) を見る『マルクスその可能性の中心』から引き続く独自…

哲学者は心理を語らなければならない

小平の某女子大でなぜかK野さんのゼミの一環である國分さんの講義に行って来た。とてつもなく刺激になった。 最晩年のフーコーが向かった倫理(と政治が交差する問題の場)の重要性を認識することができた。哲学者は真理を語らなければならない。 フーコー …

ビコ先生

某大学(超・理系)の非常勤の仕事(1年生用の初等英語)で「何やってもいいよ」と言われたので、迷いつつCry Freedomを読んでいる。Cry Freedom: Level 6: Simplified Edition (Oxford Bookworms Library)作者: John Briley,Rowena Akinyemi出版社/メーカー…

対位法と弁証法

ゼミでSusan Buck-MorseのHegel, Haiti, and Universal Historyを読む。Hegel, Haiti, and Universal History (Illuminations: Cultural Formations of the Americas)作者: Susan Buck-Morss出版社/メーカー: Univ of Pittsburgh Pr発売日: 2009/01/30メディ…

アリエッティ

借り暮らしのアリエッティを観てきました。 以下、感想&ネタばれあり。 基本的には小人の少女アリエッティと、金持ちのボンボンで心臓を病んでいる少年の淡い出会いと別れの物語…に見えるけど、実際にはそこに重点が置かれているわけではない。 むしろ、ち…

コレの小指

映画評 ウスマン・センベーヌ監督 『母たちの村』Moolaade(2004)母たちの村 [DVD]出版社/メーカー: エスピーオー発売日: 2007/02/02メディア: DVD購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (15件) を見る原題となるmoolaade(最後のeにはアクサンが付く…

人類館について

【備忘録】 知念正真ちねんせいしん戯曲『人類館』を読む/聞く1903年に実際に大阪での行われた人類学術博覧会に琉球人が「出品」される、という事件を題材にした戯曲。〜〜〜ネタバレあり〜〜〜 調教師 陳列された男 陳列された女調教師が皇民化政策を体現…

(いくつかの)はじまり

最近、ある口頭発表にあわせて、お勉強に精を出しています。 性ではありません。ただ、いろいろな友人や教官や、先生方に意見を聞くと、だんだん不安になってきます。 自分の議論が何かしらの契機になっている自信はあるものの、自分の問題意識をきれいにま…

J.M. Coetzee ”Foe”について

いまだに、教員免許用の単位習得に四苦八苦してます。 その一環として、実は初めて、"Foe"読みました。Foe (Penguin Essentials)作者: J M Coetzee出版社/メーカー: Penguin発売日: 2001/02/22メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る一…

音楽のエラボレーション

今さら感も甚だしいわけだけども、サイードの『音楽のエラボレーション』を読み始める。音楽のエラボレーション作者: エドワード・W.サイード,Edward W. Said,大橋洋一出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2004/10メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を…

主人公たちが消えていくお話

以前から読んでいる『資本論』がもうすぐ一息つきそう。資本論〈第1巻(上)〉 (マルクス・コレクション)作者: カールマルクス,Karl Marx,今村仁司,鈴木直,三島憲一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 42回この…

『ペルセポリス』と『Bed Peace』を観た

毎月1日は映画の日、ということで観てきました。『ペルセポリス』@渋谷Cinema Rise イランのある少女のアイデンティティを模索する物語、とまとめていいと思う。 でも、その表象の仕方はユニークで、エンターテイメント映画としても十分楽しめる。原作にコ…

他者の自伝 ――ポストコロニアル文学を読む作者: 中井亜佐子出版社/メーカー: 研究社発売日: 2007/12/22メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 45回この商品を含むブログ (19件) を見るどこかのブログでどなたかが「今後日本でポスコロを研究する上では…

久しぶりに映画を観た。

最近、ドキュメンタリーにはまっているってのもあるけど、やっぱりこの人面白い。 アッバス・キアロスタミ監督『クロース・アップ』クローズ・アップ [DVD]出版社/メーカー: パイオニアLDC発売日: 2001/09/21メディア: DVD クリック: 13回この商品を含むブロ…

私は、ある大学院に所属しています。 指導教官に言わせれば「ヤクザな学校」。 そこにいる、そして大学院生であることの最大の喜びの一つはいろんな面白い情報が入ってくるということ。 興味はあったんだけど、ほとんど知らなかったことに関するいろんな面白…